そもそも軽自動車ってどんな車なのかを聞かれたときに、「軽自動車=660ccのエンジンを積んだ車」と回答する人が圧倒的に多いのではないでしょうか。もちろん間違いではないのですが、さすがにそれだけでは少し物足りないので追加で解説してみます。
軽自動車とは?みんなの回答
軽自動車とは何かを聞かれた時に、いろんな人から真っ先に出てくる回答としては次のとおりです。
- 排気量が660ccの自動車
- 税金を含めていろんな場面で経済的な車
- 小さな車
- 会社で営業車として使われている車
- ナンバーが黄色の車
軽自動車とは?厳密な回答
自動車には規格が厳格に定められており、日本独自の「軽自動車(軽四)」は1998年10月の規格が適用されています。ちなみに、道路運送車両法には根拠条文が定められています。
以下の6つの規格のうち、1つでも越えた場合は小型自動車扱いとなってしまいます。
- 全長 3,400mm(3.40m)以下
- 全幅 1,480mm(1.48m)以下
- 全高 2,000mm(2.00m)以下
- 排気量660cc以下
- 定員4名以下
- 貨物積載量350kg以下
軽自動車、小型自動車、普通自動車、という順に大きくなっていきますが、軽自動車に乗っている人でもここまで意識している人はほとんどいないと思われます。
| 規格 | 軽自動車 | 小型自動車 |
|---|---|---|
| 全長 | 3,400mm以下 | 4,700mm以下 |
| 全幅 | 1,480mm以下 | 1,700mm以下 |
| 全高 | 2,000mm以下 | 2,000mm以下 |
| 排気量 | 660cc以下 | 660cc超2,000cc以下 |
| 定員 | 4名以下 | 5名以下 |
| 貨物積載量 | 350kg以下 | 2,000kg未満 |
軽自動車は本当に経済的なの?【車体価格編】
軽自動車は家計にも優しいと評されますが、それは本当なのかを比較検討してみることにしました。今回は、車体価格と税金の面の2点から調べてみることにします。
まずは、軽自動車の車体価格です。

リサーチする車種に偏りがないようには努めましたが、完全に同一条件での比較は難しいものがあります。普通車との比較でも同じことが言えますので、参考程度に読んでみてください。なお、掲出の車は2025.11.2時点で新車購入できるものを選定してあります。
| 車種 | グレードなど | 新車価格(メーカー発表・税込価格) |
|---|---|---|
| アルト(スズキ) | HYBRID X / 2WD・CVT車 | 1,519,100円〜 |
| スペーシア(スズキ) | HYBRID X / 2WD・CVT車 | 1,705,000円〜 |
| エブリィ(スズキ) | PA・ハイルーフ / 2WD・5MT車 | 1,197,900円〜 |
| ミライース(ダイハツ) | B・SAⅢ / 2WD・CVT車 | 992,200円〜 |
| タント・カスタム(ダイハツ) | RS Limited / 2WD・CVT車 | 1,985,500円〜 |
| ムーヴ(ダイハツ) | RS / 2WD・CVT車 | 1,897,500円〜 |
グレードによって価格に大きな差はありますが、いずれの車種も200万円を切る税込価格で購入することが可能です。
続いて、小型自動車と普通自動車の新車価格も見てみます。
| 車種 | グレードなど | 新車価格(税込価格) |
|---|---|---|
| アクア(トヨタ) | X / 2WD・ハイブリッド車 | 2,486,000円〜 |
| シビック(ホンダ) | LX / 2WD・CVT車 | 3,544,200円〜 |
| CX-3(マツダ) | 15S Touring / 2WD・AT車 | 2,279,200円〜 |
| エクストレイル(ニッサン) | G / 2WD・ハイブリッド車 | 4,695,900円〜 |
| レックス(スバル) | Z ハイブリッド / 2WD・ハイブリッド車 | 2,608,100円〜 |
| LS500h(レクサス) | エグゼクティブ / 2WD・ハイブリッド車 | 17,250,000円〜 |
こうして見比べてみると、軽自動車の中で高いグレードの新車価格がようやく小型自動車の中で低いグレードの新車価格とほぼほぼ近いかなという印象を受けます。低いグレードのものだけでなく、全体に目を向ければ車体価格の差は歴然です。
ただし、安いから「優」ということではない部分もあります。よく言われるのは、安いのには安い理由が何かしらあるということです。軽自動車は安く購入することが可能ですが、メーカーの企業努力と性能・品質の両方に起因するものなのです。
軽自動車は本当に経済的なの?【税金編】
軽自動車と普通車の税金面での違いは次のとおりです。
まずは、自動車税について。自動車税とは自動車を所有している人が毎年払う必要のある地方税の一種です。軽自動車の場合、軽自動車税となるのですが、支払い先は各市町村となります。なお、金額については市町村ごとに自由に決められるわけではなく、全国一律の金額となっています。

毎年、春ごろに自宅に納付書が届くのが「自動車税」ですよね。
| 車の種類 | 軽自動車税(13年経過車の軽自動車税) |
|---|---|
| 乗用(自家用) | 10,800円(12,900円) |
| 乗用(営業用) | 6,900円(8,200円) |
| 貨物用(自家用) | 5,000円(6,000円) |
| 貨物用(営業用) | 3,800円(4,500円) |
軽自動車税はお財布にも優しい金額となっています。次は、小型車と普通車の自動車税の金額一覧です。見比べてみると、軽自動車税の金額とは雲泥の差になっています。
| 車の種類 | 自動車税 | 2019.9月までの新車登録車(13年経過時) |
|---|---|---|
| 排気量1,000cc以下 | 25,000円 | 29,500円(33,900円) |
| 排気量1,000cc超から1,500cc以下 | 30,500円 | 34,500円(39,600円) |
| 排気量1,500cc超から2,000cc以下 | 36,000円 | 39,500円(45,400円) |
| 排気量2,000cc超から2,500cc以下 | 43,500円 | 45,000円(51,700円) |
| 排気量2,500cc超から3,000cc以下 | 50,000円 | 51,000円(58,600円) |
| 排気量3,000cc超から3,500cc以下 | 57,000円 | 58,000円(66,700円) |
| 排気量3,500cc超から4,000cc以下 | 65,500円 | 66,500円(76,400円) |
| 排気量4,000cc超から4,500cc以下 | 75,500円 | 76,500円(87,900円) |
| 排気量4,500cc超から6,000cc以下 | 87,000円 | 88,000円(101,200円) |
| 排気量6,000cc以上 | 110,000円 | 111,000円(127,600円) |
続いて、自動車重量税です。短縮して「重量税」と呼ばれることの多い税金ですが、こちらは名前のとおり自動車の重量に応じた金額設定となっています。車検を受ける時に次回の車検分までの税金をまとめて支払う仕組みになっており、税金の制度について疎い人から見ればあまり意識したことのないものかもしれません。
| 重量 | 新規検査時の基準税額 *3年分 | 継続検査時の基準税額(13年経過) *2年分 |
|---|---|---|
| 軽自動車 | 9,900円 | 6,600円(8,200円) |
| 0.5t以下 | 12,300円 | 29,500円(33,900円) |
| 0.5t超から1.0t以下 | 24,600円 | 34,500円(39,600円) |
| 1.0t超から1.5t以下 | 36,900円 | 39,500円(45,400円) |
| 1.5t超から2.0t以下 | 49,200円 | 45,000円(51,700円) |
| 2.0t超から2.5t以下 | 61,500円 | 51,000円(58,600円) |
| 3t以下 | 73,800円 | 58,000円(66,700円) |

自動車税と同様に、重量税の面でもやはり軽自動車には大きなメリットがあると言えますよね。年式にもよりますが、数千円で済んでしまうのですから。
次は、「環境性能割」という制度について。環境性能割は環境性能の高い車に対して行われる減税・免税措置です。なお、正式な名称は「自動車税環境性能割」・「軽自動車税環境性能割」です。
2019.9.30まで設定されていた自動車取得税が廃止になり、代わって2019.10.1から環境性能割という制度が導入されました。新車・中古車といった区分は関係なく、自動車を取得すると発生するものですが、環境性能が高い車ほど税率が低くなったり、中には非課税となるケースもあります。
環境性能割は自動車の取得金額によっても大きく左右されるものですので、車両金額自体が低い軽自動車から見れば優遇されていることになります。
法人の営業用車両としてもよく見かける車
コストメリットの高い車だからこそ、会社では社員が営業での外出時に使う車として活用されています。スズキであればアルト、ダイハツであれはミライースはその最たる例だと言えます。
営業に使うのですから、最低限の仕様を満たしていれば十分です。スピードを出して走るわけでもないですし、快適装備なんて別に必要ありません。
会社であろうと個人であろうと、いろんなところで見かける車ということは販売台数が多いのです。となると、事故を起こす・巻き込まれるリスクも当然高くなります。最終的には自動車保険の金額が上がる可能性があるのはデメリットとも言えます。
軽自動車の起源
軽自動車というカテゴリーが登場したのは昭和24年(1949年)です。軽自動車検査協会の公式サイトによると、従来の小型自動車と軽自動車が分けられたのが始まりとのこと。とは言え、実際の生産が始まり市場で目にするようになるまでに10数年の期間を要したことも記載されています。
最近は、街中でもよく見かける軽自動車ですが、実際の販売台数をリサーチしてみました。下記、数字は2025年4月〜9月末日までの新車の販売台数です。
まずは小型車・普通車の新車販売台数ランキングです。

普通車の場合は、販売台数ではなく「登録台数」のデータを引用しています。
| 順位 | 通称ブランド名 | 登録台数 |
|---|---|---|
| 1位 | ヤリス(トヨタ) | 75,349台 |
| 2位 | カローラ(トヨタ) | 62,852台 |
| 3位 | ライズ(トヨタ) | 50,111台 |
| 4位 | ルーミー(トヨタ) | 48,712台 |
| 5位 | シエンタ(トヨタ) | 46,816台 |
続いて、軽自動車の新車販売台数ランキングです。
| 順位 | 通称ブランド名 | 販売台数 |
|---|---|---|
| 1位 | N-BOX(ホンダ) | 97,958台 |
| 2位 | スペーシア(スズキ) | 79,805台 |
| 3位 | ムーヴ(ダイハツ) | 60,513台 |
| 4位 | タント(ダイハツ) | 55,165台 |
| 5位 | ハスラー(スズキ) | 43,346台 |
乗用車は「登録台数」、軽自動車は「販売台数」となっており、厳密に言えば異なるデータではあります。
見比べてみると、軽自動車の方が圧倒的に多く販売されていると言えます。販売価格自体は安いので、売上金額としては同一ではありませんが、軽自動車がいかに重要な「アシ」になっているのかがデータからよく分かります。
【本記事のまとめ】作りの面ではマイナス軽自動車はコストメリットの大きな車
軽自動車には大きなコストメリットがありました。
車体価格が小型車・普通車に比べれば安いのは事実ですが、ただしそれは「作り」の問題に起因するのも事実です。車内空間が狭かったり、快適性としては劣る部分があるのも事実です。事故に遭った時の身体に襲いかかるリスクの大きさやエンジンを含めた走りの面では劣っていることが確かです。
その代わり、税金を含めた維持費の面では普通車とは比べ物にならないほどメリットが大きいです。特に下記の2点ついてはそれが言えます。
- 軽自動車税
- 自動車重量税
それ以外にも、高速道路の通行料金は普通車の8割程度で設定をされていたり、コインパーキングでは軽自動車専用のスペースが用意されていたり、都会だけでなく、狭い道や山道でもスイスイ走っていきやすいなどのメリットはやっぱり他に変え難いものです。

サーキットやイベントでも軽自動車に乗る若い子たちは増えてきていますよね。自動車文化を盛り上げる存在としても頼もしい限りですよね!
















もちろんイメージだけの回答も見られますが、そんな認識を持っている人は多いんでしょうね。