サーキットは敷居が高い!そんな風に考えている方は多いかもしれません。マニュアル車で、ターボをつけたビッグパワー車で、車高はペタペタにダウンした車で、バケットシートで4点式シートベルトをつけた車で、ハイグリップタイヤを履いた車でなければサーキットを走ったらダメ…そんなことはありません。
実際に、ほぼほぼノーマル車で参加してきたので、競技後のレビューも含めて記事を書かせていただきます。
開催要項&詳しい情報
正式名称は「D-SPORT & DAIHATSU Circuit Trial」、冠名のとおりD-SPORT(ディースポーツ)とダイハツ工業株式会社が共催しているJAF公認のサーキットトライアル(タイムトライアル競技)です。サーキットトライアルとは、レースの世界における予選順位を決めるタイムアタックと考えると分かりやすいかと思います。

いかに速い1周のラップタイムを刻むかということに、ドライバーは全精力をかけることになります。
また、レースではないので、前を走る車に追いつきすぎても良いラップタイムは出ませんし、逆に後ろを走る車を意識しすぎてブロックしたところで、良いラップタイムなんて出せません。いかにしてタイムアタックしやすい環境を作るか、よく言われる専門用語を混ぜて言えば「クリアラップを作れるか?」が課題となります。
市販車ベースなので性能の面でコーナーで突っ込みすぎることなく、程よい感じで走れるかも大切な要素だと言えます。
主催者であるD-SPORTのサイトのは下記のように記載されています。
D-SPORT & DAIHATSU Circuit Trial はJAF国内Bライセンスを保有し、さらにダイハツ車をお乗りの方を対象におこなうサーキットトライアルイベントです。
希望者はさらなるステップアップとして、1日でJAF国内競技運転者許可証A(以下、国内Aライセンスと表記)の取得することも可能です。また、競技ライセンスをお持ちでない方でも気軽に参加できるオープンクラス(賞典外)も設置しておりますので、全てのダイハツ車をお乗りの方にご参加頂けます。
※オープンクラスを完走されますと、ご希望の方はJAF国内競技運転者許可証B(以下、国内Bライセンスと表記)の取得権利を得ることができます。
引用:D-SPORT
同じような名称なので混同してしまうかもしれませんが、「D-SPORT&DAIHATSU Challenge Cup」というイベントも開催されています。
2025年、1年間の開催スケジュールは下記の通りです。以下では、D-SPORT&DAIHATSU Challenge Cupを「Challenge Cup」、D-SPORT & DAIHATSU Circuit Trialを「Circuit Trial」と略して表記することにします。
| 大会名(略称) | 開催日 | 開催場所 |
|---|---|---|
| Challenge Cup | 2025.4.13(日) | 富士スピードウェイ 静岡県駿東郡小山町 |
| Challenge Cup | 2025.6.22(日) | SPA直入 大分県竹田市直入町 |
| Challenge Cup | 2025.8.17(日) | 十勝スピードウェイ 北海道河西郡 |
| Challenge Cup | 2025.9.14(日) | TSタカタサーキット 広島県安芸高田市 |
| Challenge Cup | 2025.10.25(土) | スポーツランドSUGO 宮城県柴田郡村田町 |
| Challenge Cup | 2025.12.13(土) | モータースポーツマルチフィールド沖縄 沖縄県沖縄市 |
| Circuit Trial | 2025.10.19(日) | スパ西浦モーターパーク 愛知県蒲郡市 |
2025年度のD-SPORT & DAIHATSU Circuit Trialは会場が愛知県蒲郡市にありますスパ西浦モーターパークでした。2007年にオープンとなり、18年が経過したコースではあるものの舗装も含めて、まだまだ綺麗なコースです。コース自体はややトップスピードが乗るものの、実際に走ってみると中低速コーナーが連続する箇所もあり、テクニカルなコースだと言えます。

また、ピットやコースからは三河湾が一望できたり、鈴鹿やもてぎのような立体交差があったり、とても楽しめるコースだと言えます。

2025年度に関しては、次のような内容で行われました。
| 開催日 | 2025.10.19(日) |
| 大会正式名 | D-SPORT & DAIHATSU Circuit Trial 2025 JAF公認番号:2025-3401 |
| 申込期間 | 2025.8.25〜2025.10.3 |
| 開催場所 | スパ西浦モーターパーク(愛知県蒲郡市西浦町原山3) コース長1,561m(順走) |
| 競技時間 | ヒート制(1本目20分・2本目20分)の1台あたり計40分 |
| 主なタイムスケジュール | 06:15 ゲートオープン 06:30 参加者受付(〜07:55) 06:40 公式車検(〜07:50) 08:00 ブリーフィング・コース攻略(〜08:45) 09:00 公式車検(〜09:40) 09:10 タイムトライアル(1)(〜11:00) 11:05 タイムトライアル(2)(〜12:45) *①②、③⑤、④、⑥A、⑥Bの順でのクラス混走 12:55 表彰式(〜13:30) 13:30 JAF国内Aライセンス講習・試験 |
| 参加クラス | ①軽NA1クラス(クラス計2台) ②軽NA2クラス(クラス計12台) ③軽ターボ1クラス(クラス計8台) ④軽ターボ2クラス(クラス計11台) ⑤レディースクラス(クラス計2台) ⑥オープンクラス(クラス計26台) *全参加台数61台 |
| クラス区分概要 (全てダイハツ車の軽自動車が必須条件) | ①軽NA1クラス NAエンジン搭載車 ②軽NA2クラス NAエンジン搭載車で車高調整式サスペンション装着車両 ③軽ターボ1クラス ターボエンジン搭載車 ④軽ターボ2クラス ターボエンジン搭載車で車高調整式サスペンション装着車両 ⑤レディースクラス 女性ドライバー ⑥オープンクラス JAF競技運転者許可証国内B、または国内Aを所有していない者 |
| クラス優勝者および計測タイム | ①#21 みよし@T関 (1’14.860) ②#22 Taro-san (1’10.249) ③#6 OTG TN滋賀(非公式) (1’12.672) ④#17 富田隆司 (1’06.005) ⑤#35 MJ (1’15.553) ⑥A#58 スパナ (1’08.408) ⑥B#53 やっさん爺様 (1’05.051) |
編集長の出走リザルト
2024年は諸事情により出走できませんでしたが、この2025年は一年越しで無事に出走することができました。決して、この大会の存在を以前からずっと知っていてダイハツ車を買ったわけではありません。日頃の足にと、購入したらたまたまこうしたサーキットトライアルイベントが開催されていることを知り、せっかくなので出てみようと思ったのです。
今回は「軽NA1クラス」でエントリーをしました。

NAにしても、ターボにしても、1クラスというのは非常に限られた範囲内でしか車を触ることが許されていないのです。より市販車に近い状態で競技に参加できるのでモータースポーツに参加したことのない方でも楽しめるクラスなのです。
1クラスの車両規定の主要点を列挙してみることにします。編集長のミライースで純正状態から変更した箇所についてはマーキングしておきますので参考にしてみてください。
| 主なパーツ | 変更の可否・車両規定の内容 |
|---|---|
| エンジンプラグおよびハイテンション(プラグ)コード | OK(詳細規定なし) |
| ECU | 基本的にはNG(メーカーのアップデート・純正ECUのみ可) |
| 吸気系 | 一部OK(エレメントのみ交換可、マニホールドは変更不可) |
| 排気系 | 一部OK(マフラーのみ交換可、触媒は変更不可) バンテージ等の装着は不可 |
| 冷却系 | 一部OK(サーモスタット・ラジエーターキャップのみ交換可) *最終モデルの生産から8年経過した車両は例外措置あり |
| 駆動装置 | クラッチディスク・クラッチカバーのみ *数および直径の変更は許されない |
| ブレーキ | 一部OK(パッド・ライニング・ローター・ホースのみ交換可) *ローター径の変更は許されない |
| サスペンション | 一部OK(純正形状のダンパー・スプリング変更は可) *減衰力の調整は可、車高の調整は不可 |
| タイヤ・ホイール | タイヤはスポーツラジアルのみ(Sタイヤは禁止) *基準サイズから幅+10mm、ホイール径+1インチを上限 *サイズダウンに関しては制限なし アルミホイールに変更する際はJWLまたはVIAマークが必要 |
| ステアリング | 一部OK(ステアリングホイール・ステアリングボスのみ交換可) *現行車両の場合は加工が禁止 |
| 補強パーツ | OK(ボルトオンで装着できるものに限る) |
軽NA1クラスは2台だけのエントリーでした。競技ライセンスを保有して、サーキットを走るドライバーが乗る車は、やはり車高調くらいは入れた車が多いこともあり、軽NA1クラスで参加できる車両が少ないのかもしれないと私なりには解釈しています。

子どもたちを乗せて走ることの多い車ですし、子どもたちも好きな小さなミライース。エントリー車両名には子どもたちの名前とスカラシップに参加させてもらっているディクセル(DXL)の名前が入っています。

1本目も2本目もたった1台のライバルには全然歯が立たず、最終リザルトは2台中2位の最下位でした。


サーキットトライアル本番までに、スパ西浦のコースで練習できたのは2回。いずれの練習も1セッションのみの走行でした。2025年7月下旬に初めて走行したときのベストタイムは、1’19.859でした。2回目は2025年9月中旬に2回目の走行をしたときのベストタイムは、1’19.431でした。
そのときのタイムを考えれば大きく成長はできたと捉えていますが、それ以上にライバルが速かったということです。
現時点での私の一番大きな課題は、サーキット走行におけるCVT車の扱い方です。高速コーナーでは他車と比べて大きく劣っているとは感じませんでした。ただ、コース後半の中低速コーナー(特に低速コーナー)ではエンジンの回転数が大きく落ちてしまいます。もちろん走行ライン取りも悪いのだろうとは思いますが、いかに回転数をあまり落とすことなく走れるかということが良いタイムを出すポイントになりそうです。
大会参加の魅力
今回の大会への参加を通じて感じた「大会参加の魅力」は次の点でした。
- サーキット走行への最低限の準備は必要なもののノーマルに近い状態でも参加が可能
- お金をかけたガチンコ勝負ではなく、ドライバーの力量によりガチンコ勝負が楽しめる
- まずは「ぶつけない」・「壊さない」・「楽しむ」といったところを重視している
- JAF公式の大会である
- JAFライセンスを取得していない方でも参加が可能
- JAF国内A級ライセンスの取得を目指している方にもピッタリの大会
- エントリーフィーに昼食代が含まれている
- 公式大会らしく車検を適正に行ってくれる(よりイコールコンディションで戦える)
- 大会エントラントには軽食サービスも付いている
- 参加後はフォトサービスがあり、自分の写真をダウンロードして二度楽しめる
大会エントラントには、D-SPORT主催の他の大会を含めた常連さんも多く、走行の合間はかなり和気藹々とした雰囲気で過ごしやすかったのも魅力の1つと言えます。

エントリー受付開始後に数時間で定員充足となってしまうクラスもあるので、参加を考えている方にとってはクラス選びも大切な大会だと言えます。



これらの写真は全て大会主催者のD-SPORTによるサービスです。とても綺麗に撮ってもらえますし、後日SNSなどで使うことも可能です。
【本記事のまとめ】D-SPORT & DAIHATSU Circuit Trialは気軽に参加ができるものの勝つには高いスキルが必要
全国的に軽自動車を使ったサーキットでの大会は賑わいを見せていると聞きます。そのような中で、メーカーが強力なバックアップをしてくれるJAF公式の大会もあります。今回、記事に書かせていただいた「D-SPORT & DAIHATSU Circuit Trial」はその1つです。
私的なイベントだと改造範囲はかなり広く、軽自動車とはいえやはりお金をかけないと勝つことは難しいのも事実です。D-SPORT & DAIHATSU Circuit Trialにおいては改造範囲はかなり限定されており、かつ競技前の車検もかなり厳格に実施されています。そういった点では、これから本格的にサーキットを走ってみたいという方にも、もうすでに経験があるという方にもピッタリの大会だと言えます。
一部のOEM車を除いて、ダイハツ車でないとエントリーはできませんが、年に一回盛況に開催される公式大会のために準備をして楽しむのもきっと思い出に残るはずです。

とくにNA1クラス、ターボ1クラスといった市販状態に近い車で参加できるクラスの参加者がもっと増えてくれるとより楽しいイベントになると思います。JAF公式戦の中では敷居も低いですし、次回の大会で一緒にNA1クラスで走ってみませんか?みんなで賑やかな大会にしたいですね!
















これらのことは、サーキットトライアル競技開始前のブリーフィングでも注意事項として教えてもらえます。車をぶつけたり、壊したりせず、楽しく1日を終えましょうということに軸足を置いたイベントでもあるので、初心者から参加できる内容です。